日本の名水百選にも選ばれる清流、長良川の奥地にかっぱの集落があるそうな。人里離れたそこでかっぱ達はゆったり穏やかに暮しておりました。
ある日、まだ幼いかっぱの一人が言いました。
「この川の先には何があるんだろう?」
「ぼく、この川を下ってみたいな・・・・。」
好奇心が少しばかし他の子より大きい子でした。
「そうだ!じい様に聞いてみよう!」
じい様は集落で一番の長老。何でも知ってる知恵袋です。
「川を下るにはどうしたらいいの?」
と幼いかっぱが聞くと、
「そうじゃな、それにはまず水を手に入れればならん。」
「わしらはこの長良川のようにキレイな水を常に皿に入れとかにゃならんのじゃ。」
そう言って、じい様はつるりとした自分の頭の上をなでまわしました。
「水を常に頭の皿に入れておく方法かぁ・・・・。」
幼いかっぱは うんうん と頭をひねりながらお家に帰りました。
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お家に帰ると、母かっぱがお夕飯の準備をしていました。
「おかえりなさい。」
「お母さんあのね、ぼくね、川を下ってみたいんだ。」
そう言って、じい様に教えてもらったことをお話しました。
「うーん、そうねえ・・・・。」
母かっぱも うんうん と頭をひねらせます。
「あら、これどうかしら。」
母かっぱはちょうど夕餉に使おうと手にしていたお豆腐を幼いかっぱの頭の皿に乗っけました。
「あっ!これはすごい!!」
と幼いかっぱは驚いた!!!
長良川の清らかな瑞々しさと大豆の力強いうまみがか体中に伝わってくるではありませんか。
若いかっぱはすっかりこのお豆腐を気に入りました。
「お母さん、この豆腐は誰が作ったの?」
「これはね、長良川のず~っと下流にある『ギトー食品』という所のお豆腐造り名人が心を込めて作った日本一のお豆腐なんだよ。」
母かっぱがそう教えてくれました。
『こんな素晴らしいお豆腐を作ってくれた人にいつかお礼を言いたいな。』
『そして、自分もこんなおいしくて便利なものを作りたいなぁ。』
と思ったのでした。
おしまい。